彼と出会ったのは2年と5ヶ月前|彼と彼女と一枚のメッセージカードの泣ける話

597 :林の中のぞうのように:2007/07/01(日) 11:33:05 ID:z2gAKeIf

先日彼が死んだ。交通事故だった。

彼と出会ったのは2年と5ヶ月前。
メールから始まった出会いだった。
最初合った瞬間にビビッとくるものなんてなかったけれど、
その日に付き合うことになって彼は私の家に泊まった。

2ヶ月ぐらいして、お互いのことがだんだんとわかりはじめてきて、
3ヶ月目ぐらいにはお互いの存在がとても大きくなって、一緒にいる時間がとても増えた。
1年半後にはほとんど一緒にいる時間が流れ、
2年後には親の許可をもらい同棲していた。
ケンカをして夕飯を作ってあげなかったこともあったけど、
お互い将来一緒になるという確信だけは消えなかったし揺るがなかった。

その日も朝から私が不機嫌で、「もう俺のこと嫌いになったの・・・?」と
寂しげな声で言い残し、彼は会社へと出勤した。
これが最後の彼の言葉だった。

彼のお母さんから電話がきた時には、パニックになって何も言葉がでてこなくて、
私はただお母さんから聞いた病院名をぶつぶつ繰り返して会社を早退した。
病院に着いたときは彼はもう既に手遅れの状態で、
かろうじて目を開けていられるぐらいの状態だったらしい。

598 :林の中のぞうのように.:2007/07/01(日) 11:35:47 ID:z2gAKeIf

その状況をみて私は青ざめた。
「貴!しっかりして!!貴!!」

彼は私を見つめ、一言、
「ゆびわ・・・よかった・・・きれいだった・・・・・」

私は何がなんだかわからなくて、彼の名前を呼びつづけた。
しかしそれも虚しく、私が着いてから15分後、彼は息をひきとった。

その夜お通夜が行われて、私は彼のご両親の御一考で親族席に座った。
彼がいない実感なんてこれっぽっちもわかなかった。

彼の遺影を見つめていた。
なぜか涙が全然出ない自分自身に、嫌悪感まで抱いていた。
泣いていない私を見て彼のお母さんが、
「これを。貴がしていたものなの。アサコさん、持っていてね。」
渡されたものは指輪だった。
付き合って1周年記念でお台場でお揃いで買ったものだった。
「左手の薬指にしていたのよ。」
その時、私は指輪をしていなかった。

朝不機嫌だった私は、いつも右手の薬指にしていた指輪をはずし、
机の上に置いて出勤した。彼はそれを悲しそうに見つめていたが、何も言わなかった。
彼は指輪をいつもしている私に、なぜ指輪をしないのかいつも突付かれていた。
「顔洗う時に顔にあたって痛いんだよ~。」とはにかみながらいつもの同じセリフ。

599 :林の中のぞうのように.:2007/07/01(日) 11:37:44 ID:z2gAKeIf

お通夜の夜、彼と一緒に一晩過ごした。彼の側にいてほしいと彼のお母さんに言われた。
でも正直、この時は彼と一緒にいても、彼の死そのものはまだ理解できていなかった。
棺桶の中を何回も見るけれど、彼がいつものように寝ているような気がしてならなかった。
彼の隣で眠った。

お通夜が終わって家に帰ってくると、妙に部屋が広く感じた。
部屋には脱ぎっぱなしのワイシャツ、充電機に繋ぎっぱなしの髭剃り、めがねが転がってた。
それを見た瞬間、身体の底からわきあがってくる胸に突き刺さるものに、私はうずくまり潰れた声で初めて泣いた。
彼の声が、聞こえた気がした。
一日中、泣いて、泣いて、泣きじゃくった。
気が付いたら夜になっていた。

私の指には彼の指輪がはまっている。
しかし不思議なことに、朝置いたはずの私の指輪が見つからない。
あの日の朝、私が机の上に置いたあの指輪。
彼がもっているのかな?と思い彼の遺留品を見させてもらったが見つからない。
指輪を無くしたショックも大きく、彼のお墓に毎日謝りに行った。

それに、彼が最期に言ったあの言葉。
「指輪、きれいだった。」一体何のことかさっぱり解らず、
これも毎日彼に聞きに行っていた。

彼がいなくなって1ヶ月後、自宅に宅配便が届いた。
宛先は彼。ジュエリーショップからのものだった。
急いで中身を開けてみると、一つの小さい箱とカードが入っていた。

箱の中身は、私の指輪だった。
しかし指輪は今までのシルバーリングとは違い、宝石がついていた。
ダイヤモンドかな・・・とカードを見ると、彼から私宛のメッセージだった。

600 :林の中のぞうのように.:2007/07/01(日) 11:40:00 ID:z2gAKeIf

『あさこへ

 あさこ、この指輪を見て驚いた?(^_-)
 すごく綺麗に仕上がっているでしょう?
 ごめんね、今日あさこが指輪を置いて出勤したから、今日しかない!!と思って
 指輪を少しの間借りました。一ヶ月もの間、絶対指輪のことでケンカになったよね?
 あさこのことだからないないってダダこねているのでしょう。
 でも俺、なくしたこと怒らなかったよね?だって俺が持っているんだから(^_^;)

 前に話していたよね、最初のペアリングを婚約指輪にしようって。
 このカードを見ているってことは、今俺からプロポーズを受けた後・・・だよね!?
 あさこと過ごしたこの2年5ヶ月は、本当に楽しくて幸せな日々でした。
 俺はあさこに出会えて本当に幸せ者です。
 これからも、ずっとずっと俺と一緒にいてください。
 今日からまたお互いがより幸せになることを祈って・・・  
                                           貴より 』

601 :林の中のぞうのように.:2007/07/01(日) 11:40:46 ID:z2gAKeIf

カードをもう一度読もうとしても、涙で読み返せなかった。
指輪は今まで通り私の指にはピッタリはまって、虚しくも、とても美しく輝いていた。
彼が私を呼んだ気がした。
私は急いで彼のお墓に行った。
そこには彼のお母さんがいて、私が泣いてくしゃくしゃな顔でカードを見せると、
お母さんは私を抱きしめて「貴を好きになってくれてありがとう。」と一緒に泣いてくれた。

今でも私の左の薬指には、彼の指輪と私への婚約指輪がはまっている。
彼のお墓にこの指輪を入れる決心がつくのはいつなのだろうか。
私がこの指輪を外すのは、いつになるのだろうか。

今でも彼を想わない時はない。
あの日、あの朝、私が怒って家を出なかったら、彼は今でも生きていただろうか。
あの時、指輪を置いていかなかったら・・・
彼がはにかみながら宝石店に入る姿が目に浮かぶ。

貴、私を愛してくれてありがとう。
私は貴に出会えて本当に幸せ者です。
生まれ変わりなんてお互い全然信じてなかったけど、
あなたはそんなものないって笑うかもしれないけど、
私はまたいつかあなたに出会えることを、祈らずにはいられないのです。

 


 

 

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